歩き始めの膝の痛みについて

朝起きて最初の数歩が痛い、座っていた後に歩き出すと膝がズキッとする。しばらく歩いていると痛みが和らいでくる。こうした「歩き始めの痛み」は、医学的にはスターティングペイン(starting pain)と呼ばれ、膝関節に何らかの問題が起き始めているサインです。
動いているうちに痛みが落ち着くため、つい「大したことはない」と見過ごしてしまいがちです。しかし、この段階を放置すると、やがて歩行中も痛みが続くようになったり、外出そのものが億劫になったりと、生活全体に影響が広がっていく可能性があります。
大阪市北区・梅田のほしやま整形外科医院では、歩き始めの痛みの段階から原因を丁寧に調べて、早期の治療につなげています。「歩けば治まるから」と様子を見ている方は、一度ご相談ください。
こんな症状はありませんか?
- 朝の最初の数歩で膝に痛みが走る
- デスクワークの後に歩き出すと膝がこわばる
- 電車やバスから降りた直後に膝が痛む
- 歩いているうちに痛みが和らいでいく
- 買い物や散歩に出かけるのが億劫に感じる
- 以前は気にならなかったのに、最近痛みを感じるようになった
歩き始めに膝が痛む原因
関節液の循環不足
膝関節の中には関節液があり、動くことで関節の表面に行き渡って潤滑の役割を果たしています。長時間座っていたり寝ていたりして膝を動かさない状態が続くと、関節液の循環が滞り、歩き出す際に関節面同士の摩擦が大きくなって痛みが生じることがあります。
滑膜の慢性的な炎症
関節の内側を覆う滑膜に軽い炎症が続いていると、安静後に膝を動かし始めた時に痛みやこわばりを感じやすくなります。歩いているうちに関節液が温まり循環が改善されることで、痛みが一時的に和らぎます。
軟骨表面の荒れ
関節軟骨の表面が滑らかさを失い始めていると、動き出しの瞬間に摩擦による痛みが出やすくなります。歩き始めの痛みが変形性膝関節症の初期に多い理由の一つです。進行するにつれて、歩行中の痛みへと移行していきます。
筋肉のこわばり
安静状態が続くと、膝まわりの筋肉や腱が硬くなります。歩き始める際に硬くなった筋肉が急に引き伸ばされて、膝関節に負荷がかかることで痛みを感じるケースもあります。
考えられる病気
変形性膝関節症
歩き始めの痛みは、変形性膝関節症の初期に現れる代表的な症状です。この段階では適切なリハビリテーションや治療によって進行を遅らせることが期待できるため、早めの対応が重要になります。
特発性大腿骨顆部壊死症
60歳以上の女性に多く見られる疾患で、大腿骨の一部に突然の壊死が生じます。歩き始めや体重をかけた時に急に強い痛みが出ることが特徴で、レントゲンでは初期に異常が映りにくいため、MRIでの早期発見が重要です。
関節リウマチ
朝のこわばりが長く続く場合や、歩き始めの痛みに加えて膝以外の関節にも症状がある場合は、関節リウマチの可能性も考えられます。
半月板損傷
半月板に変性や損傷があると、歩き出しの際に痛みや引っかかり感が出ることがあります。加齢に伴う変性断裂は、はっきりした外傷がなくても徐々に進行する場合があります。
歩き始めの膝の痛みの検査
レントゲン検査
関節の隙間の狭さや骨の変形を確認します。変形性膝関節症が進行しているかどうかの目安になりますが、初期の段階ではレントゲンだけでは異常が見つからないこともあります。
MRI検査(近隣の画像診断クリニックで実施)
レントゲンで異常が見られない場合でも、MRIであれば軟骨の状態や滑膜の炎症、骨髄浮腫、半月板の変性などを確認することが可能できます。歩き始めの痛みの原因がどこにあるのかを正確に突き止めることで、的確な治療方針につなげることが可能です。
エコー検査
関節内の炎症や水の貯留の有無をその場で確認できます。滑膜の状態を視覚的に評価する際にも活用しています。
歩き始めの膝の痛みの治療
歩き始めの痛みは、早い段階で対処することで進行を防ぎやすい時期にあたります。当院では、検査で原因を確認した上で、以下の治療を組み合わせながら対応しています。
リハビリテーション
膝まわりの筋力強化と柔軟性の改善が治療の基本です。関節液の循環を促して、動き出しの痛みを軽減する効果も期待できます。当院の理学療法士が、ご自宅で取り組んでいただけるセルフケアもあわせてお伝えしています。
薬物療法・注射
痛みが日常生活に支障をきたしている場合は、内服薬や湿布で症状を和らげます。滑膜の炎症が認められる場合には、ヒアルロン酸注射やステロイド注射で関節内の環境を整える治療も検討します。
再生医療(PRP療法)
軟骨の損傷や慢性的な炎症が確認された場合には、再生医療によるアプローチも検討します。初期段階のうちに炎症を抑えて組織の修復を促すことで、症状の進行を遅らせることが期待できます。
ラジオ波治療(Coolief:クーリーフ)
変形性膝関節症と診断されて、痛みが慢性化している場合には、クーリーフも効果的です。痛みの伝わり方を変えることで、普段の歩き出しが楽になる可能性があります。