正座ができなくなる症状について

以前は何気なくできていた正座が、いつの間にかできなくなっていた。膝を深く曲げようとすると途中で痛みが出る、あるいは膝が曲がりきらない。こうした変化に気づいて不安を感じている方もおられるのではないでしょうか?
正座は膝関節を約150度まで深く曲げる動作で、膝にとって最も可動域が求められる姿勢の一つです。法事やお茶席、和室での食事など、日本の生活様式では正座を求められる場面が多く、「正座ができない」という悩みはQOL(生活の質)に直結します。
ただし、正座ができなくなった原因や膝の状態によっては、正座への復帰が難しいケースもあります。大阪市北区・梅田のほしやま整形外科医院では、どこまでの改善が見込めるかを検査結果にもとづいて丁寧にご説明した上で、患者様の生活に合わせた治療目標を一緒に考えています。
こんなお悩みはありませんか?
- 正座をしようとすると膝の裏側が痛む
- 途中までは曲がるが、最後まで曲げきれない
- 正座の姿勢から立ち上がる時に強い痛みがある
- 法事やお茶席で正座ができず困っている
- しゃがみ込む動作がつらくなった
- 以前より膝が曲がる範囲が狭くなっている
正座ができなくなる原因
関節軟骨のすり減り
膝関節の軟骨がすり減ると、深く曲げた時に骨同士が直接ぶつかり、痛みが生じます。正座のような最大屈曲の姿勢では特に顕著に痛みが出やすく、変形性膝関節症の方が正座を困難に感じる大きな理由の一つです。
関節包・筋肉の硬さ
痛みをかばって膝を深く曲げない状態が続くと、関節を包んでいる組織(関節包)や太ももの裏・ふくらはぎの筋肉が硬くなって、膝の屈曲範囲が徐々に狭くなっていきます。この状態が続くと拘縮が進み、ますます曲がりにくくなるという悪循環に陥ることがあります。
関節内の水の貯留
関節の中に水が溜まると内圧が高まり、膝を深く曲げることが物理的に難しくなります。正座だけではなく、しゃがみ込む動作全般がつらくなる場合は、関節内の水の貯留が関わっている可能性があります。
半月板の損傷
半月板に損傷があると、膝を深く曲げた際に断裂部分が挟まって強い痛みが出ることがあります。「ある角度まではスムーズだが、そこから先で急に痛くなる」という訴えが多く見られます。
考えられる病気
変形性膝関節症
正座ができなくなる原因として最も多い疾患です。軟骨のすり減り、骨棘(骨のとげ)の形成、関節包の拘縮などが複合的に関わって、膝の屈曲制限が進行します。初期であればリハビリテーションや治療によって改善が期待できる場合もありますが、進行した状態ではある程度の制限が残ることもあります。
半月板損傷
半月板の損傷が正座時の痛みや屈曲制限の原因になっていることがあります。深く曲げた時の痛みに加えて、引っかかりやロッキング(急に膝が動かなくなる状態)の症状を伴う場合は半月板損傷が疑われます。
関節リウマチ
リウマチによる滑膜の炎症が慢性化すると、関節の破壊や拘縮が進んで正座が困難になることがあります。両膝に症状がある場合や手指にもこわばりがある場合は、リウマチの可能性を考慮します。
ベーカー嚢腫
膝の裏側にできる嚢腫が、深く曲げる際に圧迫感や痛みの原因となることがあります。正座の姿勢で膝裏が「詰まる」ような感覚がある場合は、ベーカー嚢腫が関わっている可能性があります。
正座ができなくなった時の検査
レントゲン検査
骨の変形の程度、骨棘の有無、関節の隙間の狭さを確認します。正座制限の背景にある変形性膝関節症の進行度を評価する基本的な検査です。
MRI検査(近隣の画像診断クリニックで実施)
軟骨の残存量、半月板の状態、関節包の肥厚、骨髄浮腫の有無など、レントゲンでは把握できない情報を確認できます。「どこまで改善が見込めるか」を判断する上で重要な検査です。
エコー検査
関節内の水の貯留やベーカー嚢腫の有無をその場で確認できます。正座の制限に水の貯留が関与しているかどうかを評価する際に活用しています。
正座ができなくなった時の治療
正座への復帰が現実的に見込める場合と、ある程度の制限が残る場合があります。当院では、MRIの結果を踏まえて到達可能な目標を患者様と共有した上で、治療を進めていきます。
リハビリテーション
膝の屈曲可動域を広げるためのストレッチや関節可動域訓練が中心になります。関節包や筋肉の硬さが原因であれば、リハビリテーションによる改善が期待できます。当院の理学療法士が、手技を中心に無理のない範囲で段階的に進めていきます。
薬物療法・注射
痛みや炎症が屈曲制限の原因になっている場合は、内服薬や湿布で痛みを和らげた上でリハビリテーションに取り組みます。関節内の水が多い場合は穿刺で除去して、ヒアルロン酸注射やステロイド注射で炎症を抑える治療も行います。
再生医療(PRP療法)
軟骨の損傷や関節内の慢性的な炎症が正座制限に関わっている場合には、再生医療も選択肢となります。損傷した組織の修復や炎症の抑制を促しつつ、リハビリテーションで可動域の回復を目指す組み合わせが有効な場合があります。
ラジオ波治療(Coolief:クーリーフ)
変形性膝関節症による慢性的な痛みが正座の妨げになっている場合には、クーリーフで痛みの軽減を図った上でリハビリテーションに取り組むという進め方もあります。痛みを軽減することで、リハビリに積極的に取り組みやすくなる効果も期待できます。