変形性膝関節症とは

変形性膝関節症は、膝関節の軟骨がすり減ることで骨同士が擦れ合い、痛みや腫れ、変形が生じる疾患です。加齢とともに発症リスクが高まり、特に50歳以上の女性に多く見られます。国内の患者数は推定で約2,500万人とも言われており、膝の痛みの原因として最も多い疾患の一つです。
「軟骨がすり減って骨と骨がぶつかるから痛い」というイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、実際の痛みの原因はそれだけではありません。関節内の滑膜の炎症、骨の中の炎症(骨髄浮腫)、半月板の変性、さらには痛みを伝える神経が過敏になっている状態など、複数の要因が絡み合っていることがほとんどです。
大阪市北区・梅田のほしやま整形外科医院の院長は、変形性膝関節症をテーマに博士号を取得しており、この疾患に特に力を入れて取り組んでいます。
こんな症状はありませんか?
- 歩き始めや立ち上がる時に膝が痛む
- 階段の上り下り、特に下りで痛みが強い
- 膝が腫れて水が溜まることがある
- 正座やしゃがみ込みが難しくなった
- 膝がまっすぐ伸びにくくなってきた
- O脚が目立つようになった
当院の変形性膝関節症治療の特徴
専門外来の実施
変形性膝関節症に対する専門外来を毎週月曜日火曜日木曜日金曜日(15:00~15:30)に実施しています。変形性膝関節症の診療に集中した枠を設けることで、検査結果の丁寧な説明や治療方針の相談に十分な時間を確保しています。
MRIにもとづく個別評価
レントゲンの進行度(KL分類:グレードI~IV)が同じであっても、MRIで見える実際の病態はお一人おひとり大きく異なります。骨髄浮腫の有無、滑膜炎の程度、半月板の変性の状態、靭帯の損傷の有無。こうした情報をMRIで把握した上で治療方針を判断することが、当院の診療の基本です。
三つの治療の組み合わせ
再生医療、ラジオ波治療(Coolief:クーリーフ)、リハビリテーションの三つを軸にした組み合わせ治療に取り組んでいます。どの治療が必要で、どの順序で進めるかは病態によって異なります。例えば、骨髄浮腫がある場合はクーリーフの前にまず再生医療とリハビリテーションで炎症を落ち着かせるなど、検査結果にもとづいた順序の判断を重視しています。
博士号を取得した院長による診療
院長は「変形性膝関節症が末期の段階でも、膝には自己修復の力がある」というテーマで博士号を取得しています。長年にわたってこの疾患を研究・治療してきた知見をもとに、お一人おひとりの病態に向き合っています。
変形性膝関節症の原因
加齢による軟骨の摩耗
長年にわたって膝を使い続けることで、関節軟骨は少しずつすり減っていきます。軟骨の摩耗が進むとクッション機能が低下して、骨への負担が増して痛みや変形につながります。
体重による膝への負荷
歩行時には体重の約3~4倍の荷重が膝にかかるとされています。体重が増加すると膝への負担も比例して大きくなるため、肥満は変形性膝関節症の進行を早める要因の一つです。
筋力の低下
太ももの筋肉(大腿四頭筋)は膝関節を支える重要な役割を担っています。加齢や運動不足によってこの筋力が落ちると、膝への衝撃が直接関節に伝わりやすくなります。
過去の怪我や半月板の損傷
若い頃のスポーツ外傷や半月板の損傷が、年月を経て変形性膝関節症の発症につながることがあります。靭帯損傷後に膝の不安定性が残っている場合も、軟骨のすり減りが進行しやすくなります。
変形性膝関節症の痛みのメカニズム
変形性膝関節症の痛みは、軟骨のすり減りだけで起こっているわけではありません。
関節内では滑膜の炎症によって関節液が過剰に産生されたり(いわゆる「水が溜まる」状態)、骨の内部に炎症(骨髄浮腫)が生じたりすることがあります。さらに、こうした炎症が長く続くと、痛みを伝える神経が過敏になり、本来の炎症が治まった後も痛みの信号を送り続けてしまうことがあります。
つまり、変形性膝関節症の痛みには「炎症による痛み」と「神経が過敏になることによる慢性的な痛み」の両面があります。治療にあたっては、この両方に対応していくことが大切です。
変形性膝関節症の進行度
変形性膝関節症は、レントゲン所見にもとづいて以下のように進行度が分類されます(KL分類)。
初期(グレードI~II)
関節の隙間がわずかに狭くなり始めた段階です。歩き始めや立ち上がりの時に痛みが出ますが、しばらく動くと和らぐことが多い時期です。この段階で適切なリハビリテーションや治療を始めることで、進行を遅らせることが期待できます。
中期(グレードIII)
関節の隙間が明らかに狭くなり、骨棘(骨のとげ)が形成され始めます。階段の上り下りや正座が困難になり、膝に水が溜まることも増えてきます。薬物療法や注射に加えて、再生医療やリハビリテーションを組み合わせた治療が重要になる段階です。
進行期~末期(グレードIV)
関節の隙間がほとんどなくなり、骨同士が直接接触している状態です。安静時にも痛みが続いたり、歩行が大きく制限されたりすることがあります。再生医療やクーリーフなどの治療で痛みの軽減を図りますが、改善が十分に得られない場合は手術(人工膝関節置換術など)を検討することもあります。
変形性膝関節症の検査
レントゲン検査
関節の隙間の狭さ、骨棘の有無、O脚の程度などを確認します。進行度はKL分類で評価しますが、レントゲンのグレードだけでは痛みの実態を十分に把握することはできません。
MRI検査(近隣の画像診断クリニックで実施)
当院が変形性膝関節症の診療で最も重視している検査です。軟骨の残存量、骨髄浮腫の有無、滑膜炎の程度、半月板や靭帯の状態を詳細に確認できます。どの治療をどの順序で組み合わせるかを判断する上で、MRIの情報が欠かせません。当院では、ほぼすべての患者様にMRI検査をご案内しています。
エコー検査
関節内の水の貯留や滑膜の炎症の程度をその場で確認できます。治療経過の評価にも活用しています。
変形性膝関節症の治療
リハビリテーション
膝まわりの筋力強化と柔軟性の改善は、どの段階においても治療の基盤となります。当院の理学療法士が手技を中心に、膝の状態や生活の目標に合わせたプログラムを組み立てています。
薬物療法・注射
痛みや炎症のコントロールとして、内服薬や湿布、ヒアルロン酸注射やステロイド注射を用います。痛みを管理しながらリハビリに取り組みやすい状態を整えることが目的です。
再生医療(PRP療法)
ご自身の血液から抽出した成分を膝関節に注入して、損傷した組織の修復や炎症の抑制を促します。当院ではPFC-FDによるバイオセラピー、GPSⅢ、APSによる再生医療の3種類を揃えており、病態や費用を踏まえて選択していきます。変形の進行を遅らせる効果も期待されている治療です。
ラジオ波治療(Coolief:クーリーフ)
神経が過敏になって慢性的な痛みが続いている場合に有効なアプローチです。痛みを伝える神経にラジオ波の熱を当てて、痛みの伝わり方を変えます。保険が適用されます。
ただし、MRIで骨髄浮腫が確認されている段階ではクーリーフの効果が得られにくいことがわかっています。そのため当院では、まず再生医療やリハビリテーションで炎症を落ち着かせてからクーリーフを検討するなど、治療の順序にもこだわっています。
手術が必要な場合
上記の治療を尽くしても症状の改善が難しい場合には、人工膝関節置換術などの手術を検討することもあります。その際は基幹病院へご紹介しています。術後のリハビリは当院で継続していただけます。
変形性膝関節症でお悩みの方へ
「歳だから仕方ない」「手術しかないと言われた」そう思い込んで、膝の痛みを諦めかけている方もおられるかもしれません。しかし、検査で痛みの原因を正確に把握した上で、適切な治療を組み合わせれば、痛みの少ない生活を取り戻せる可能性は十分にあります。
変形の進行を遅らせる治療も含めて、まだ検討できる選択肢があるかもしれません。変形性膝関節症でお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。