離断性骨軟骨炎とは

離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)は、関節面の軟骨とその下にある骨の一部が、血流の障害によって壊死して徐々に剥がれていく疾患です。膝関節では大腿骨の内側の関節面(内側顆)に好発し、10~20代の若い方に多く見られます。
初期には運動時の漠然とした膝の痛みや違和感が主な症状ですが、進行すると壊死した骨軟骨片が関節内に剥がれ落ちて、引っかかりやロッキング(急に膝が動かなくなる状態)を引き起こすことがあります。遊離した骨軟骨片は周囲の正常な軟骨を傷つける原因にもなるため、早期に発見して適切に対応することが重要です。
初期の段階ではレントゲンで異常が見つかりにくいことがあり、MRIでの早期診断がカギとなります。大阪市北区・梅田のほしやま整形外科医院では、ほぼすべての患者様にMRI検査をご案内しているため、この疾患の早期発見につなげることが可能です。
こんな症状はありませんか?
- 運動中に膝に漠然とした痛みや違和感がある
- 膝を動かすと引っかかる感じがする時がある
- 膝が急に動かなくなること(ロッキング)がある
- 膝に引っかかりが出たり消えたりする
- 長時間の運動後に膝が腫れることがある
- レントゲンでは異常がないと言われたが膝の違和感が続く
離断性骨軟骨炎の原因
繰り返しの負荷(微小外傷の蓄積)
はっきりした一度のけがではなく、スポーツなどで膝に繰り返し加わる衝撃が蓄積することで、関節面の骨に微小な損傷が生じます。これが血流の障害を招いて、骨軟骨の壊死に至ると考えられています。
血流障害
関節面直下の骨の血流が何らかの原因で途絶えると、栄養を受けられなくなった骨が壊死を起こします。繰り返しの負荷による微小骨折や、局所的な血管の異常が血流障害の原因として考えられていますが、正確なメカニズムは完全には解明されていません。
遺伝的な素因
一部の患者様では、遺伝的な要因が関与している可能性も指摘されています。両膝に発症するケースや、家族に同じ疾患の既往がある場合は、遺伝的素因が背景にあることがあります。
離断性骨軟骨炎の進行度
離断性骨軟骨炎は、壊死した骨軟骨片の状態によって段階的に分類されます。
安定期(初期)
骨軟骨片がまだ関節面にしっかりとくっついている状態です。軟骨の表面に大きな異常は見られませんが、MRIでは骨の内部に壊死の領域が確認されます。この段階で発見できれば、手術をせずに治療を進められる可能性が高くなります。
不安定期
骨軟骨片が周囲から部分的に離れ始めている状態です。軟骨の表面にひびや隆起が見られるようになり、運動時の痛みや引っかかりが強くなります。
遊離期
骨軟骨片が完全に剥がれ落ちて、関節内を自由に動いている状態です。遊離体(関節ねずみ)が関節の隙間に挟まることで、ロッキングや強い痛みが起こります。関節面に欠損が残り、周囲の正常な軟骨も損傷を受ける恐れがあるため、多くの場合手術が必要になります。
離断性骨軟骨炎の検査
レントゲン検査
進行した段階では、関節面に透亮像(骨が抜けて見える部分)や骨軟骨片の遊離が確認できます。ただし、初期の段階ではレントゲンに異常が現れないことも多く、レントゲンだけでは見逃される可能性があります。
MRI検査(近隣の画像診断クリニックで実施)
離断性骨軟骨炎の早期発見と進行度の評価において、最も重要な検査です。壊死している領域の範囲、骨軟骨片の安定性、軟骨表面の状態をMRIで正確に把握することで、保存療法で対応できるか手術が必要かの判断が可能になります。
エコー検査
関節内の水の貯留の有無や、軟骨表面の不整を確認する補助的な検査として活用しています。
離断性骨軟骨炎の治療
治療方針は、進行度と骨端線(成長線)の閉鎖状況によって大きく異なります。
安定期の治療(保存療法)
骨軟骨片が安定している初期の段階であれば、スポーツ活動の制限と経過観察による保存療法が基本です。膝への負荷を減らして壊死した骨の修復を促します。成長期のお子様では骨の修復力が高いため、保存療法で改善が見込めるケースが多くあります。
リハビリテーション
保存療法の期間中は、膝への荷重をコントロールしながら、膝まわりの筋力維持と柔軟性の確保に取り組みます。当院の理学療法士が、活動制限の中でもできるトレーニングを個別にご指導しています。スポーツ復帰の時期についても、MRIでの経過確認を踏まえてお伝えしています。
スポーツ活動の調整
保存療法中は、膝に強い衝撃がかかる運動を一定期間控えていただく必要があります。制限の内容や期間はMRIでの回復状況を確認しながら調整していきます。「何をどこまでやって良いか」をお子様と親御様に具体的にお伝えして、不安なく取り組んでいただけるようにしています。
手術が必要な場合
不安定期や遊離期に進行している場合は、手術が必要になることがあります。手術方法は、骨軟骨片を固定する方法、遊離体を除去する方法、損傷した関節面を修復する方法などがあり、進行度や病変の大きさに応じて判断されます。手術が必要な場合は連携する基幹病院へご紹介しており、術後のリハビリは当院で対応可能です。
離断性骨軟骨炎が心配な方へ
この疾患は、初期段階で発見できれば手術を避けられる可能性が高い一方で、進行してからでは治療の選択肢が限られてきます。特に10~20代でスポーツをしている方で、膝の漠然とした痛みや違和感が続いている場合は、レントゲンで異常がなくてもMRIで詳しく調べることが大切です。