ラジオ波治療(COOLIEF:クーリーフ)とは

Coolief(クーリーフ)は、膝の痛みを伝える神経(感覚神経)にラジオ波の熱を当てて、痛みの伝わり方を変える治療です。正式名称は「Coolief 疼痛管理用ラジオ波システム焼灼術」で、アバノス(Avanos)社が開発した医療機器を使用します。
内服薬でも注射でも手術でもない、新しい概念の治療選択肢として、変形性膝関節症やそれに伴う膝の慢性的な痛みに対して用いられています。
大阪市北区・梅田のほしやま整形外科医院は、この治療を国内でも早い段階で導入しており、学会でも治療成果を報告しています。
膝の慢性痛が続くメカニズム
変形性膝関節症の痛みは、軟骨のすり減りや関節内の炎症だけが原因ではありません。
炎症が長く続くと、痛みを伝える神経が過敏になり、本来の炎症が治まった後も痛みの信号を送り続けてしまうことがあります。いわば「脳が痛みを記憶している」状態です。この場合、炎症を抑える薬やヒアルロン酸注射だけでは十分な効果が得られにくくなります。
クーリーフは、この過敏になった神経に直接アプローチすることで、慢性的な痛みの軽減を目指す治療です。
クーリーフの特徴
再生可能なレベルでの処置
クーリーフは、痛みを伝える神経を再生可能なレベルで焼灼します。神経を「切断」するのではなく、痛みの伝わり方を変えるアプローチです。焼灼した神経は時間の経過とともに再生が見込まれるため(約2年間)、不可逆的な処置ではありません。
運動神経には影響しない
処置前に微弱な電流を流して運動神経の位置を確認して、運動神経を避けた上で痛覚神経のみにアプローチします。膝を動かす機能には影響しません。
エコーガイド下での正確な処置
エコー(超音波)で針の位置をリアルタイムに確認しながら処置を行います。目的の神経に正確にアプローチするために欠かせない技術です。
プローブ先端の冷却機能
クーリーフ専用の針(プローブ)は、先端を冷却しながらラジオ波を発生させる構造になっています。これにより先端電極の温度上昇を抑えつつ、従来のラジオ波治療よりも広範囲の焼灼が可能になっています。
外来で受けられる(入院不要)
処置時間は約30分程度で、入院の必要はありません。処置後に体調を確認して、問題がなければそのままお帰りいただけます。
こんな方におすすめです
- 変形性膝関節症による慢性的な痛みが続いている(目安として半年以上)
- ヒアルロン酸注射や鎮痛剤では痛みが十分に改善しない
- 持病やご高齢のため手術が受けられない
- 手術を勧められているが、仕事や家庭の事情で長期間休むことが難しい
- 人工膝関節置換術を受けたが痛みが残っている
- 手術以外の方法で痛みを軽減したい
臨床試験のデータ
海外で実施された臨床試験(対象151名)では、治療6ヶ月後の時点で、痛みが50%以上軽減した患者様の割合がクーリーフで74%、ステロイド注射で16%でした。
痛みの程度を示すNRS(0~10の段階で評価。10が最も痛い状態)は、治療前の7.2から6ヶ月後には2.5まで改善して、24ヶ月後でも3.6を維持しており、効果の持続が報告されています(個人差あり)。
当院でも学会発表を行っており、50%以上の痛み軽減を「効果あり」と定義した場合、60~70%の患者様に効果が認められています。中には痛みの程度が大幅に改善された方もおられます。
当院のクーリーフ治療の特徴
国内早期からの導入実績
当院はクーリーフを国内でも早い段階で導入した施設の一つです。導入から現在まで継続的に治療を行っており、学会でも治療成果を報告しています。この治療を求めて遠方からお越しになる患者様もおられます。
MRIにもとづく適応判断(近隣の画像診断クリニックで実施)
クーリーフは基本的に変形性膝関節症による痛みが対象となる治療であり、すべてのケースで同じように効果が出るわけではありません。例えば、MRIで骨の中に炎症(骨髄浮腫)が確認されている段階では、クーリーフの効果が得られにくいことがわかっています。また、痛みの原因が実は腰からの神経由来であった場合も、期待した効果が出ないことがあります。
当院ではMRI検査を行った上で、クーリーフが効果を発揮しやすい状態かどうかを見極めてから治療に進みます。
再生医療・リハビリとの組み合わせ
クーリーフを単独で行うのではなく、再生医療やリハビリテーションと組み合わせることで、より良い結果を目指しています。骨髄浮腫がある場合はまず再生医療とリハビリテーションで炎症を落ち着かせてからクーリーフを検討するなど、治療の順序にもこだわっています。
治療後のリハビリ体制
クーリーフの治療後は、専用のリハビリテーションのプログラムで経過を管理しています。痛みが軽減された状態でリハビリに取り組むことで、膝の機能回復をより効果的に進めることが期待できます。
治療の流れ
STEP01
診察・検査
まず、クーリーフの対象となるかどうかを診察と検査で確認します。MRI検査(近隣の画像診断クリニックと連携)で膝の内部の状態を詳しく評価した上で、治療の適応を判断します。
STEP02
治療前の準備
エコー検査で、膝の痛みの原因となっている神経の位置を確認します。
STEP03
局所麻酔
処置部位に局所麻酔を行います。麻酔が効いている状態で治療を進めるため、処置中の痛みはあまり感じません。痛みがある場合は、麻酔を追加します。
STEP04
神経の焼灼
エコーガイド下で膝周囲3箇所(内側2箇所、外側1箇所)にクーリーフ専用の針を刺入して、65℃のラジオ波で神経を焼灼します。
STEP05
処置後の確認
処置後に体調を確認して、問題がなければそのままお帰りいただけます。
STEP06
経過観察
翌日もしくは1週間後に経過を確認します。クーリーフの効果は治療後すぐに実感できる場合もありますが、処置直後の痛みの軽減は局所麻酔の効果です。クーリーフ自体の効果は徐々に現れ、早い方で2日~1週間程度で実感し始めます(個人差あり)。
治療後の注意事項
- 治療当日はお風呂の入浴を避けて、シャワー浴にしてください
- 針を刺した部位が気になる場合は、医師にご相談ください
- 治療後も定期的な受診とリハビリの継続が必要です
- 痛みが完全になくなるわけではなく、痛みの軽減が期待される治療です