ベーカー嚢腫とは

ベーカー嚢腫とは

ベーカー嚢腫(のうしゅ)は、膝の裏側に関節液が溜まって袋状の膨らみができる疾患です。膝関節の中で何らかの炎症が続くと関節液が過剰に産生されて、その液体が関節の後方に押し出されることで嚢腫が形成されます。

中高年の方に多く見られ、変形性膝関節症や関節リウマチに合併して発症するケースが大半を占めます。嚢腫そのものは良性の病変ですが、大きくなると膝裏の圧迫感や膝の曲げ伸ばしのしにくさを引き起こします。稀に嚢腫が破裂して、ふくらはぎに急激な痛みと腫れが広がることもあります。

大阪市北区・梅田のほしやま整形外科医院では、エコーで嚢腫の状態を確認するとともに、MRIで膝関節内の原疾患を評価した上で、根本的な原因に対する治療をご提案しています。

こんな症状はありませんか?

  • 膝の裏にぷっくりとした膨らみがある
  • 膝を深く曲げると裏側に圧迫感がある
  • 膝の曲げ伸ばしがしにくくなった
  • 膝裏の膨らみが大きくなってきた
  • しゃがみ込みや正座で膝裏が詰まるように感じる
  • 突然ふくらはぎが腫れて痛くなった(嚢腫の破裂の可能性)

ベーカー嚢腫の原因

膝関節内の炎症

ベーカー嚢腫の多くは、膝関節内の炎症が原因です。変形性膝関節症や関節リウマチ、半月板損傷などによって滑膜に炎症が続くと、関節液が過剰に産生されます。膝関節の後方にある腓腹筋半膜様筋滑液包(膝裏にある袋状の構造)に関節液が流れ込み、嚢腫として膨らんでいきます。

嚢腫の逆流弁の仕組み

関節と滑液包の間には、一方通行の弁のような構造が存在するとされています。関節液は関節から滑液包へ流れ込みますが、戻りにくい構造になっているため、一度嚢腫が形成されると中の液体が減りにくく、嚢腫が持続・増大しやすくなります。

合併しやすい疾患

変形性膝関節症

ベーカー嚢腫が合併する頻度が最も高い疾患です。軟骨のすり減りに伴って関節内に慢性的な炎症が続き、関節液が過剰に産生されることで嚢腫が形成されます。

関節リウマチ

リウマチによる持続的な滑膜炎も、ベーカー嚢腫の主要な原因の一つです。リウマチの活動性が高い時期に嚢腫が増大しやすく、リウマチの治療によって嚢腫が縮小することもあります。

半月板損傷

半月板の損傷が関節内の炎症を引き起こして、二次的にベーカー嚢腫が形成されることがあります。

ベーカー嚢腫の破裂について

稀に嚢腫が破裂して、中の関節液がふくらはぎに漏れ出すことがあります。突然ふくらはぎが腫れて強い痛みが生じるため、深部静脈血栓症(DVT:足の静脈に血栓ができる病気)と症状が似ていて、鑑別が重要になります。

ふくらはぎが急に腫れて痛む場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診してください。

ベーカー嚢腫の検査

エコー検査

ベーカー嚢腫の診断に最も適した検査です。嚢腫の大きさ、形状、内容物の性状をその場でリアルタイムに確認できます。嚢腫が破裂しているかどうかの評価にも有用で、深部静脈血栓症との鑑別にも活用しています。治療後の経過観察にもエコーを使用しています。

レントゲン検査

嚢腫そのものの評価にはなりませんが、膝関節の変形の程度や骨棘(骨のとげ)の有無など、原疾患の状態を確認する目的で撮影します。

MRI検査(近隣の画像診断クリニックで実施)

嚢腫と周囲の組織の関係、関節内の原疾患(滑膜炎の程度、半月板の状態、骨髄浮腫の有無など)を詳細に評価できます。嚢腫の治療方針は原疾患の状態によって左右されるため、MRIの情報が重要です。

ベーカー嚢腫の治療

ベーカー嚢腫の治療で最も大切なのは、嚢腫そのものへの対処だけではなく、嚢腫を引き起こしている膝関節の原疾患を治療することです。原疾患の炎症が持続している限り、嚢腫は穿刺しても再発を繰り返します。

穿刺・注射

嚢腫が大きく、圧迫感や痛みが強い場合は、注射器で中の液体を吸引(穿刺)します。穿刺後にステロイド注射を行って炎症を抑えることで、再貯留を遅らせる効果が期待できます。

原疾患の治療

変形性膝関節症が原因であれば、ヒアルロン酸注射やリハビリテーション、再生医療などで関節内の炎症をコントロールすることが嚢腫の再発予防につながります。関節リウマチが原因であれば、抗リウマチ薬による全身的な治療が必要になります。

リハビリテーション

膝まわりの筋力を強化して関節全体の状態を改善させることで、嚢腫の再発リスクを下げることが期待できます。嚢腫による膝の動きにくさがある場合は、可動域の回復も含めたリハビリテーションを行います。

再生医療(PRP療法)

関節内の慢性的な炎症が嚢腫の原因になっている場合には、再生医療で炎症を抑えるアプローチも選択肢の一つです。原疾患の改善を図ることで、嚢腫の再発リスクの低減につなげます。

手術が必要な場合

穿刺や原疾患の治療を行っても嚢腫が繰り返し再発する場合や、嚢腫が非常に大きく日常生活に支障をきたしている場合には、手術による嚢腫の切除を検討することがあります。手術が必要な場合は連携する基幹病院へご紹介しており、術後のリハビリは当院で対応可能です。

膝裏の膨らみが気になる方へ

ベーカー嚢腫は、膝関節内の疾患のサインであることが多い病変です。「膝裏にしこりがある」「膝裏が張って曲げにくい」という症状がある方は、嚢腫の評価だけではなく、膝関節全体の状態を確認されることをおすすめします。

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