膝蓋骨脱臼とは

膝蓋骨脱臼は、膝のお皿(膝蓋骨)が正常な位置から外側にずれてしまう状態です。10~20代の女性に多く見られ、スポーツ中のジャンプや方向転換、転倒などをきっかけに発症することが多い疾患です。
初回の脱臼は強い痛みと腫れを伴いますが、自然に元の位置に戻ることも少なくありません。ただし、一度脱臼を起こすと膝蓋骨を支えている靭帯(内側膝蓋大腿靭帯:MPFL)が損傷するため、繰り返し脱臼を起こしやすくなります。このように脱臼を繰り返す状態を「反復性膝蓋骨脱臼」と言います。
大阪市北区・梅田のほしやま整形外科医院では、MRIで膝蓋骨の形態や靭帯の損傷状態を詳しく評価した上で、リハビリテーションや装具による治療、手術が必要な場合の基幹病院への紹介まで対応しています。
こんな症状はありませんか?
- 膝のお皿が外側にずれた、またはずれかけた感覚があった
- 脱臼した後に膝が大きく腫れた
- 膝を曲げる動作でお皿がずれそうな不安感がある
- 膝のお皿を外側から押すと怖い感じがする(不安感テスト陽性)
- スポーツ中に膝が「ガクッ」となって力が入らなくなった
- 過去に膝蓋骨脱臼を経験していて、また起きないか不安がある
膝蓋骨脱臼の原因
外傷(スポーツなど)
ジャンプの着地や急な方向転換、転倒などで膝にひねりの力が加わった際に、膝蓋骨が外側に押し出されて脱臼します。バスケットボール、バレーボール、サッカーなどのスポーツで発症するケースが多く見られます。
骨格的な要因
膝蓋骨が収まる大腿骨の溝(滑車溝)が浅い方や、膝蓋骨の位置が生まれつき高い方(高位膝蓋骨)は、脱臼を起こしやすい骨格的な素因を持っています。こうした要因は反復性脱臼のリスクにも関わっています。
関節の柔らかさ(関節弛緩性)
関節が生まれつき柔らかい方は、膝蓋骨を支える靭帯や周囲の組織が緩みやすく、脱臼のリスクが高くなります。若い女性に発症が多い背景には、関節弛緩性の影響もあると考えられています。
筋力のアンバランス
太ももの内側の筋肉(内側広筋)が弱く、外側の筋肉に引っ張られるバランスになっていると、膝蓋骨が外側に偏位しやすくなります。
反復性膝蓋骨脱臼について
初回の脱臼で内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)が損傷すると、膝蓋骨を内側に引き留める力が低下して、脱臼を繰り返しやすくなります。反復性脱臼を繰り返すうちに、膝蓋骨や大腿骨の関節面の軟骨が傷つき、将来的に膝蓋大腿関節症(お皿の裏側の変形性関節症)へ進行するリスクもあります。
脱臼のたびに「自然に戻るから大丈夫」と放置するのではなく、脱臼を繰り返す原因を評価した上で、適切な治療を受けることが大切です。
膝蓋骨脱臼の検査
徒手検査
膝蓋骨を外側に押した時の不安感(アプリヘンションテスト)を確認します。脱臼の既往がある方では、お皿を外側に動かそうとするだけで強い恐怖感を感じることが多く、診断の重要な手がかりになります。
アプリヘンションテスト
膝を軽く曲げた状態で、医師が膝蓋骨を外側に押し出すように力を加える検査です。脱臼の既往がある方は、お皿がずれそうになる感覚に対して強い不安や恐怖を示します。この反応が陽性であれば、膝蓋骨の不安定性があることを示唆しています。
レントゲン検査
膝蓋骨の位置(高さや傾き)、大腿骨の滑車溝の深さ、脱臼に伴う骨片の有無を確認します。軸写像(膝を曲げた状態で撮影する方法)で膝蓋骨の傾きや外側偏位を評価することもあります。
MRI検査(近隣の画像診断クリニックで実施)
内側膝蓋大腿靭帯(MPFL)の損傷の有無や程度、膝蓋骨や大腿骨の関節面の軟骨損傷、脱臼時に剥がれた骨軟骨片の有無などを詳細に確認できます。反復性脱臼の治療方針を決める上で欠かせない検査です。
エコー検査
膝蓋骨周囲の腫れや関節内の水の貯留を確認する際に活用しています。脱臼直後の初期評価にも役立ちます。
膝蓋骨脱臼の治療
治療方針は、初回脱臼か反復性かによって異なります。当院では検査結果をもとに、保存療法での対応が可能かどうかを判断しています。
初回脱臼の治療
初回脱臼の多くは、装具やサポーターで膝蓋骨を保護しながら、リハビリテーションで膝まわりの筋力を回復させる治療を行います。特に内側広筋の強化は、膝蓋骨を正しい位置に保つ上で重要です。
リハビリテーション
膝蓋骨の安定性を高めるためのリハビリテーションが治療の中心です。内側広筋の選択的な強化、太もも全体の筋力バランスの改善、膝蓋骨のトラッキング(動きの軌道)を整えるためのトレーニングを段階的に進めていきます。
装具治療
膝蓋骨が外側にずれるのを防ぐサポーターやブレースを活用します。リハビリテーションと併用することで、日常生活やスポーツ復帰時の再脱臼リスクの軽減につなげます。
薬物療法・注射
脱臼後の急性期の痛みや腫れに対しては、内服薬や湿布を使用します。関節内に水や血液が溜まっている場合は穿刺を行い、必要に応じてステロイド注射で炎症を抑えることもあります。
手術が必要な場合
脱臼を繰り返す反復性膝蓋骨脱臼の場合は、手術(MPFL再建術など)を検討することがあります。骨格的な要因が強い場合や、脱臼時に骨軟骨片が遊離して関節内に残っている場合も手術の適応となります。手術が必要な場合は連携する基幹病院へご紹介しており、術後のリハビリは当院で対応可能です。
膝蓋骨脱臼でお悩みの方へ
膝蓋骨脱臼は、特に10~20代の方に多い疾患です。「自然に戻ったから問題ない」と放置してしまうと、脱臼を繰り返して軟骨の損傷が進む恐れがあります。初回の脱臼後から適切な治療とリハビリテーションに取り組むことが、再発の予防につながります。
脱臼の不安を抱えながら過ごしている方は、お気軽にご相談ください。